結論:断食中の空腹は「ずっと続く」ものではなく、波のように来て、必ず一度引きます。 だから戦い方は2つだけ。①波をやり過ごす道具(飲み物・逃げ道アイテム・行動)を手元に用意しておくこと、②「あと何時間で終わり」を見えるようにしておくこと。この記事では、営業職で16時間断食を5年続けてきた私が実際に使っている紛らわし方を、効いた順に紹介します。
いま空腹がつらくてこのページを開いた人は、まず水をコップ2杯飲んでください。その間にこの記事を読み終わる頃には、たぶん波が少し引いています。
16時間断食とは、1日のうち食べない時間を連続16時間つくり、残りの8時間以内で食事を済ませる食事法です。「プチ断食」とも呼ばれ、どの時間帯を食事にあてるかは自分の生活に合わせて決められます。
空腹は「もうすぐ終わる」と分かれば耐えられる
空腹の我慢がつらいのは、正確には「お腹が減っているから」ではありません。「この空腹がいつまで続くのか分からないから」です。
私は営業の仕事をしながら朝抜き型(20時に食べ終えて翌日の昼まで)を5年続けていますが、いまでも空腹の波は来ます。それでも折れないのは、「9時に来たこの波は、10時にはだいたい引いている」「あと2時間我慢すればほぼ昼」と、終わりが見えているからです。
マラソンで「残り2km」の表示があれば走れるのと同じで、空腹も残り時間が見えれば耐えられます。逆に、ゴールの見えない我慢は誰でも折れます。意志の強さの問題ではありません。
だからまず、時計でもアプリでも手帳でもいいので、「自分の断食があと何時間で終わるのか」をすぐ見える状態にしておくこと。これが小手先のテクニックより先に効く、いちばんの土台です。
なぜ空腹は波で来るのか?
空腹感は一直線に強くなり続けるのではなく、数時間おきの波として来ては引くことが研究で確認されています(Physiol Behav 2013)。空腹感には体内時計に連動した1日のリズムと、数時間周期で繰り返す波の両方があり、「食べなければ空腹が無限に増していく」わけではないのです。
この波の正体は、主に「グレリン」という空腹ホルモンです。グレリンは胃から分泌されて脳に「食べろ」と信号を送りますが、分泌は食事の時間に合わせたリズムで増減するため、食べなくてもしばらくすると信号は弱まります。空腹がずっと右肩上がりに強くなるわけではないのは、このためです。
これは体感とも一致します。朝9時ごろ「グーッ」と強烈に来ても、仕事に集中しているといつの間にか消えている。そして昼前にまた来る。波は来ます。でも、必ず一度引きます。
この「必ず引く」を知っているかどうかで、同じ空腹のつらさがまったく違って感じられます。いまつらいなら、それはピークです。ピークは続きません。
今すぐできる空腹の紛らわし方
ここからは私が実際にやってきたことを、効いた順に紹介します。
まずは水。とにかく水をがぶ飲みする
一番シンプルで一番効くのが水です。腹が減って我慢できないとき、私はとにかく水をがぶ飲みしていました。胃に何か入ると、人間ある程度は落ち着きます。
炭酸水ならさらに膨れるので、水で物足りない人にはおすすめ。お茶やブラックコーヒーもOKです(砂糖・ミルク入りは断食が途切れるのでNG)。
5年やってきた私の体感では、空腹の勝負は「水分でどれだけ粘れるか」でほぼ決まります。
「逃げ道アイテム」を手元に置いておく【比較表】
水で粘っても厳しいときのために、私は「苦しくなったら食べていいもの」を事前にカバンに入れておきます。
ポイントは、実際に食べるかどうかではありません。「いざとなったら逃げ道がある」と分かっているだけで、我慢が続くのです。逃げ道ゼロの我慢は追い詰められますが、ポケットに逃げ道があれば「まだ使わなくていいか」と粘れます。
5年間でいろいろ試した結果の比較がこれです。
| アイテム | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| ナッツ | ◎ | 持ち運びやすい・腐りにくい・血糖値が上がりにくい。オメガ3系の脂質も取れる。職場で口にしても「小腹が減ってるのね」くらいで見てもらえる |
| バナナ | ○ | 栄養があり適度に腹に溜まる。午前は我慢して「昼のあと夕方まで粘るためのおやつ」に回すのもアリ |
| 都昆布(酢昆布) | △ | 小袋ならアリ。ただ、仕事中に残りをデスクで人に見られたくない(気にしない人はどうぞ) |
| ガム | △ | 噛むことで空腹を紛らわす点では優秀。ただ私は成分が気になって今は取っていない |
一番のおすすめはナッツです。『「空腹」こそ最強のクスリ』(青木厚)でも断食中のナッツはOKとされていて、私も5年間ずっと”食べていいもの”として頼ってきました。
ただし、正直な失敗談をひとつ。始めた頃、午前用と午後用に分けて持っていったナッツを、午前中に全部食べてしまったことが何度もあります。自分に必要な量が分かっていなかったんですね。なので量は片手に握れるくらいを目安に、袋ごと持ち歩かないこと。袋ごと持つと、たぶんなくなります。
外出先で手ぶらなら、コンビニのゆで卵・ヨーグルト1パック・バナナあたりが現実的な逃げ道です。
行動で気をそらす:集中していると空腹は消える
意外に思うかもしれませんが、何かに集中しているあいだ、空腹は気にならなくなります。
私が朝抜き型に落ち着いた理由のひとつがこれです。午前中はアポ調整や打ち合わせ準備でバタバタ忙しい。すると、あれだけ強烈だった9時の空腹が、気づいたら消えているんです。「あれ、いま波来てたはずだよな」と後から気づくくらい。
在宅や休日で集中する対象がないときは、散歩・入浴・歯磨きが使えます。特に歯磨きは、口の中がスッキリすると「いま食べたらもったいない」という気持ちも働いて一石二鳥です。逆に、やることがなくてソファでスマホを眺めている時間は、空腹が一番大きく聞こえてくる時間。空腹の波が来たら、体か手を動かすと覚えておいてください。
環境を変える:食べ物を視界から消す
シンプルですが、見えると食べたくなります。机の上のお菓子、キッチンの菓子パン、会社のデスクの引き出しのチョコ。視界に入るたびに意志力を消費するので、断食の時間帯は食べ物を視界から消しておく。
私はコンビニでも、用がないのにお菓子コーナーへは近づかないようにしています。始めたての頃、あのコーナーで「何なら食えるんだ」と10分悩んで絶望した経験があるので……。見なければ、悩みも起きません。
やってはいけない紛らわし方
逆効果になるものもあります。私の失敗込みで3つ。
- 飴・甘いジュースでしのぐ:私の体感では、甘いものでしのぐと1〜2時間後に前より強い空腹が来ます。糖質で一時的に満たされても、切れたときの反動が大きい。紛らわすつもりが空腹を増幅させる、一番やりがちな罠です。
- 「我慢の反動」のドカ食い:空腹を限界まで我慢して、解禁と同時にドカーンといくパターン。恥ずかしながら私は今でもやることがあります。対策として覚えたのは、先に食べていい量を皿に取り分けてから食べ始めること。袋や鍋から直接いくと止まりません。
- 限界を超えて我慢し続ける:強い頭痛やふらつき、冷や汗が出るレベルは「紛らわす」の範囲を超えています。そこは中断してください。断食は続けることに意味があるので、1回の我慢比べに勝っても仕方ありません。
それでも辛いなら、時間を短くしていい
ここまでの方法を全部使っても辛い日は、断食時間そのものを縮めてください。それは失敗ではありません。
断続的断食は、毎日完璧に16時間やらなくても効果が出ることが大規模な研究の統合解析で報告されています(BMJ 2025)。「16時間できなければ意味がない」は思い込みです。
私の実践的な目安を書いておきます。20時に食べ終えた場合、
- 朝9時の時点で、もう12時間経っています。 ここで限界ならナッツを口にしてOK。9時は仕事がスタートしてガンガン回す時間帯。そこで「腹減った、やる気出ない」になるくらいなら、食べて仕事を優先したほうがいい。
- ただし9時からがっつり食べるのはなし。ナッツくらいのおやつ感覚のものにとどめる。
- 粘れそうなら「あと1時間で10時=14時間」と考える。10時まで粘れば14時間です。これを何回かやると体が慣れてきて、いつの間にか12時まで届くようになります。
在宅などで食事を自由に取れる環境の人は、なおさら「今日は12時間できた」「昨日より1時間延びた」と、できた時間を記録して自分を認めてあげる方式がおすすめです。いきなり16時間を毎日やろうとして3日で折れるより、12時間を1ヶ月続けるほうが確実に前進します。何よりも継続がいちばん大切です。
つらさの原因が空腹ではなく「夜眠れない」にある人は、16時間断食で寝れない原因と対処法も参考にしてください。
まとめ:空腹対策は「根性」ではなく「準備」
- 空腹は波で来て、必ず引く(研究でも確認されている)
- 残り時間が見えると耐えられる。時計・アプリ・手帳で「あと何時間」を見える化する
- まず水をがぶ飲み。それでもだめなら逃げ道アイテム(ナッツが最強)を事前にカバンへ
- 集中・散歩・歯磨きで波をやり過ごす。食べ物は視界から消す
- 飴・ジュースは逆効果。限界を超える我慢もしない
- 辛い日は12〜14時間に縮めてOK。継続がいちばん大切
空腹に「勝つ」必要はありません。波が引くまでの数十分をやり過ごす準備さえあれば、断食は続きます。
私はいま、断食の残り時間をひと目で見えるようにする断食タイマーアプリ「16h danjiki」を開発しています(iPhone向け・ojicare)。「あとどれくらいか」が見えるだけで空腹の波はぐっと乗り切りやすくなる。この記事で書いたことを、そのまま形にしたアプリです。
続ける仕組みづくり全般は16時間断食が続かない人へ、時間帯の選び方は朝抜き・夜抜きどっち?、飲み会続きの人は外食・飲み会との両立術へどうぞ。
よくある質問
Q. 断食中の空腹はいつがピーク?何分くらいで引きますか?
A. 空腹感は数時間おきの波として来ることが研究で確認されています(Physiol Behav 2013)。私の体感では、1回の波は30分〜1時間ほどでピークを過ぎます。朝抜きの場合、いちばん強い波は9時前後。そこを水と集中でやり過ごすと、昼まで意外と持ちます。
Q. 空腹を紛らわすのに一番おすすめのものは?
A. まず水(または炭酸水)をしっかり飲むこと。それでも厳しければナッツを片手分。持ち運びやすく、血糖値が上がりにくく、職場で口にしても目立ちません。「いざとなったら食べられる」と手元に置いておくだけでも我慢が続きます。
Q. ガムや飴で紛らわすのはあり?
A. 飴はおすすめしません。私の体感では、甘いものでしのぐとすぐにかえって強い空腹が来ます。ガムは噛むことで紛らわす効果はありますが、私は成分が気になって今は使っていません。選ぶならシュガーレスを。
Q. どうしても我慢できない日は失敗ですか?
A. 失敗ではありません。断続的断食は毎日完璧でなくても効果が出ると報告されています(BMJ 2025)。12〜14時間に縮めた日も「できた日」として記録し、続けることを優先してください。強い頭痛やふらつきがあるときは中断を。
✍️ この記事を書いた人
断食サラリーマンKEN(OJC/ojicare)— 営業職の会社員。38歳でプチ断食を始め、16時間断食を5年続ける実践者。朝抜き型(20時→翌日昼)で定着。会食・接待の多い生活の中で「無理なく続ける工夫」を試し続けている。
※ペンネーム+実体験で運営。医療に踏み込む内容は別途、医師・管理栄養士の監修を付ける方針。
⚠️ 注意・免責
- 妊娠中・授乳中、持病で治療中の方、成長期の方、過去に摂食障害のある方は、自己判断で断食をしないでください。実施前に医師に相談を。
- 本記事は個人の体験と一般的な情報提供であり、医療上の助言ではありません。
- 体調不良(強い頭痛・ふらつき等)が出たら中止してください。


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